お腹の赤ちゃんはもうすぐで八ヶ月目に入ります。
分かりにくいんですが、
写真の中央に正面から見た鼻と口があります。
サルみたいですね。
最近は妻のお腹をトントン叩くと、ぐいっと押し返してきたりします。
不思議な感じ。
でも、本当の所、僕はなんとなく寂しい。
家族や友人みんなに置いて行かれるような気がして怖い。
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京都時代、バイト先でお世話になったYさんという人がいた。
僕の母ぐらいの年齢で、同志社を出て空調会社で管理職をしていたような人だ。
職場は激務で、Yさんは長年の過労による心臓発作で倒れたが、
なんとか一命を取り留めた。
だからYさんは
「どうせ一度死んだんやし、ぼくの人生は付録みたいなもんやから」
と半ば自嘲気味に笑って、20代の僕と一緒にクソみたいなバイトをしていた。
とても恰幅が良いくせに、存在感がフワフワしていて、
なんだか幽霊みたいな人だった。
そんなYさんと、たまに京都タワーホテルのバーに誘われてのみに行く事があった。
ある時、水割りを飲みながら、
「ぼくには子供がいないから、一度子供を育てる苦労をしてみたかった。」としみじみ言う。
その時は「そんなもんかなぁ?」と思っただけだったけど、
でも、結局僕はそのYさんの一言で子供を持つ決心をしたのだった。
最近またYさんの一言を思い出す。
結局Yさんが正しかった事は十分分かっているんだけど、
でも、なんだか寂しい。
たぶん、目の前の人生が変わるのが怖いのかもしれない。
自分はいつまでたっても臆病だと思う。
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