夕餉に妻が茶碗蒸しを作ってくれました。
子供たちは食べないので、僕にだけふたつ。
だって、大好きなんですもの。
そして目を細めて茶碗蒸しを食べていると、向かいに座っている彼女の笑いをこらえている視線に気が付きます。
「だってさ、大きなゆーやんが小さな茶碗蒸しを愛おしそうにチミチミ食べてるのが可笑しくて。」
いいじゃないの!
なにせ大好きなんだから。
オレがさ、
死ぬ前に食べたいのは茶碗蒸しか松茸の土瓶蒸しなので、それ、今から頼んどくよ。
お父さんが死んだ時を見てるとさ、陸に揚がった魚みてえにパクパクしちゃって臨終間際は何も喰えないんだよ。実際は。
だから、土瓶蒸しの汁だけでいいから。
それをそっとおちょこに注いでさ、そんでそれを一杯のませてやってくれよ。
あれ、マジでグッと沁みるんだよな。
コメントをお書きください
yome (月曜日, 16 1月 2017 20:37)
だって、ほんと笑えるの。
背中を丸くして、目を細めて、茶わん蒸し食べてるんだもん。
好々爺かよ!って。
ゆーやん (月曜日, 16 1月 2017 22:46)
yome様
昔は大して好きじゃなかったんだけどね。ほら、うちの子達も食べないじゃない?
若人と茶碗蒸しには何か相容れないものがあるんですよ、きっと。
そんでさ、底に沈んだ銀杏がいいんだよね。
最後に現れる一粒の銀杏。
あゝ、オレを待っていたのは貴様だったのか!
そして、そんな我が盟友を包み込んでいる熱い出し汁と卵の柔らかな優しさ。
忘れ得ぬ爽やかな寿ぎの如き三つ葉の後味。
行けども行けども辿り着けない、満たされない様な予感がする夕餉のディジャヴー。
それが・・・
ちゃ・わ・ん・む・し・・・
また作ってよ♡